本:リーンスタートアップ

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則
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を読んだ。
「アントレプレナーはあらゆるところにいる。
スタートアップだからガレージが職場でなければならないわけではない。
本書におけるスタートアップとは、とてつもなく不確実な状態で
新しい製品やサービスを創り出さなければならない人的組織を指す言葉であり、
そこで働く人は皆アントレプレナーである。」
「スタートアップとは、本質的に、アイデアを製品に変える触媒のようなものだ」
「リーンスタートアップは、構築→計測→学習のフィードバックループを中心にモデル化されている」
「アーリーアダプターは完成度が高いと不安になる。誰にでも使えるレベルに仕上がっているのなら、早く使ってもどれほどのメリットが得られるのか不安になるのかと考えてしまう。だから、アーリーアダプターが求める以上に機能を増やしたり完成度を高めたりするのは、資源も時間も無駄にする行為となる。}
「誰が顧客なのかがわからなければ、何が品質なのかもわからない」
「作るのにどれだけ時間がかかったかなど、顧客は気にしない。顧客が気にするのは、自分にとっていいか悪いかである。」
「コホート分析が、スタートアップの分析にものすごく役立つ分析だ。
昔から営業ファネルという手法で顧客獲得までの道のりを管理しているが、リーンスタートアップでは同じ手法を製品開発にも使う。この手法は様々な種類のビジネスで使える。
どこも、フローと呼ばれる、顧客が行う一連の行動が生き残りの鍵になる。
顧客フローは製品と顧客の関係をコントロールするもので、このフローを解析すれば事業を定量的に理解することが可能」
「学びの中間目標は、『意味のない計画を鉄の規律で実行しているかもしれない』状況に着目し、負のスパイラルを防止する」
グロキット社の成功の2要素。
1.評価尺度を相対的な数値からコホート型に変えた。
2.事実から因果関係を探すのではなく、新機能の投入をスプリットテストとしてりようすることにした。
「作りこんだ新機能の数ではなく、検証による学びをベースに生産性を測る」
「3つの『しやすさ』の価値
行動しやすさ、わかりやすさ、チェックしやすさ、が尺度として重要」
「我々には学ぶ能力があるし、生まれながらに創造性も有している。ノイズから信号を見分けるすばらしい力も備えている。この能力が優れているばかりに、存在しない信号を見つけてしまうことのあるが、ともかく、間違った判断をすることもあるが、仮設を繰り返し検証すれば少しずつ判断を適切なものへと変えていける」
「仮説があいまいだと完全な失敗というものも無くなる」
「バッチサイズが小さければ、作業を始めると同時に気づき、方向修正ができる」
「バッチサイズ縮小で得られる最大のメリットは、品質向上の問題を早期に発見できることだ
ここから生まれたのが、トヨタの有名なアンドンである
アンドンは、部品に欠陥があるなど、その場で解決できない問題に気づいたら、だれでも組立ライン全体を止めて助けを求められる仕組みだ。
アンドンは、ラインを何度も止め、スムーズな流れを乱してしまう。それでも問題を早期に発見して対処するメリットのほうが、ラインを止めるコストよりも大きいのだ」
「作っている製品を顧客が欲しがらなかったらどうなるか。
バッチサイズを小さくすれば、あとあと無駄にしたと判断する時間やお金、労力を最小限に抑えられるのだ」
「検証したい仮設を設定したら、なるべく早く実験方法を考え、実行していく。この時、バッチサイズは可能な限り小さくする」
「計画は、まず学ぶ必要があるものをみつけ、学びが得られる実験となる製品を考える。
つまり、ポイントは顧客ではなく、顧客に関する仮設であり、それをプル信号として製品開発を始めとするさまざまな仕事を動かす。これ以外の仕事はしべて無駄である」
「スタートアップは餓死しない。溺れ死ぬのだ」ーベンチャーキャピタリスト、ショーン・キャロラン
「5回のなぜ
お荷物問題に5回のなぜを適用してはならない
1.5回のなぜを導入する場合は、新しく問題が起きた時に検討会を開くようにしなければならない。
2.5回のなぜ検討会には関係者が全員参加しなければならない。
3.この方法に不慣れな人もいるので、検討会では毎回冒頭にこのプロセスの目的と原理を簡単に説明する。

「『組織の筋肉にはメモリー効果がある』ーグレッグ
人間というものは手慣れたやり方や習慣をなかなか捨てられない」
「イノベーションのサンドボックスを用意する。
イノベーションが自由に行える砂場(サンドボックス)を作る。
イノベーションの影響は封じ込めるがスタートアップ的な手法の邪魔はしない場を作る。
1.製品やサービスのうち、サンドボックスにいれられた部分のみ、あるいは一部の顧客セグメントや領域についてのみ、どのチームもスプリットテストによる実験を自由に行える
2.ひとつの実験は最初から最後までひとつのチームが管轄する。
3.実験期間には上限を設定する(シンプルな機能実験なら2~3習慣、破壊的イノベーションならもっと長期)
4.実験対象の顧客にも上限を設定する(メインストリームの顧客ベース全体に対する割合で定めることが多い)
5.実験の評価は、行動につながる評価基準が5~10個(これを超えてはならない)あつ標準報告書1通で行う
6.サンドボックスで作業するチームにそこで作られる製品も、すべて、同じ評価基準で成否を測る
7.実験を準備したチームは評価基準と顧客の反応(サポートへの電話、ソーシャルメディアでの反応、フォーラムへの書き込みなど)を実験中にモニタリングし、大きな問題が発生したら実験を中断する。

「チームの生産性について、その定義を機能的な卓越性ーマーケティングや営業、製品開発などそれぞれにおけるエクセレンスーから検証による学びにかえると問題が起きる。
各機能のスペシャリストは自分の仕事に没頭できた時間の割合で効率を測ってきた。
プログラマーなら1日中プログラミングをしているのが一番という具合だ。
このようなエキスパートにとって、会議や仕事の部門間受け渡し、さまざまな上司への説明などで仕事を中断されることは効率が落ちてフラストレーションを感じるものだ。
リーンスタートアップの場合、スペシャリスト一人ひとりの効率向上は目的に含まれない。
機能横断的に仕事をして検証による学びを得るチームが欲しいのだ。
行動につながる評価基準、継続的デプロイメント、全体的な構築ー計測ー学習のフィードバックループなど、そのためのテクニックはいずれも、チームメンバーの個人的効率を落とす。
どれほど早く構築できても意味がない。どれほど早く計測できても意味が無い。
大事なのは、ループ全体を少しでも早く回すことだ」
「製造能力は、人が思いつくものであればほぼなんでも作れるだけある。
いま、我々が問うているのは
「作れるのか?」ではなく
「作るべきなのか?」なのだ
つまり、我々はかつてない状況に直面している。
人類全体の想像力の質が未来を左右する状況に」
「ものを作るという面では効率が上がったが、
いまの経済は相変わらず無駄が多い・
無駄の原因は組織の効率が悪いからではなく、間違った仕事をしているからだーしかも産業規模で、
ピーター・ドラッカーが指摘しているように
「やってはいけないことをすばらしい効率でおこなほど無駄なことはない」のだ

「もっとがんばれと労働者にいうだけでは駄目だ。
今の問題事態、まちがったことを頑張りすぎるのが原因なのだから」
「機能毎の効率に着目すると、まだわかっていないことを学ぶというイノベーションの本当の目的が目に入らなくなる」
「デミングが言うように、重要なのは定量的な目標を設定することではなく、その目的を達成するための方法を整えることだ」
「科学の名を借りて創造的な仕事よりもルーチンな仕事、人間性よりも機械化、俊敏性よりも計画が優先されしまった。このような間違いは、時代が変わり、新しい動きが生まれてようやく解消された」
「失敗や挫折があっても悪者探しや避難はせず、正面から向きあい、そこから学ぶ、スローダウンし、バッチサイズを大きくして予防の呪いにとらわれることがないように注意する。
逆に、学びにつながらない不要な仕事は省略し、スピーアップをはかる」
「持続可能な価値を生み出し、世界をよりよくするろいう長期ミッションを持つ組織を一生懸命作る。
そして、時間の無駄遣いがなくやなるのだ」
本書での新しい概念
・誰も欲しがらない製品を作ってしまうムダを無くす「MVPー実用最小限の製品」、「構築ー計画ー学習のフィードバックループ」
・従来の管理会計や財務会計と違ってスタートアップに適した「革新会計ーイノベーションアカウンティング」、「粘着型・ウイルス型・支出型の成長エンジン」
「ソフトウェア・エンジニアの間で広まりだしたトレンド(アジャイル開発など)を噛み砕き、投資家やビジネスパーソンにも参考になる形で最定義した。それをリーン・スタートアップというキーワドのもと、体系化したのが本書」
「リーンスタートアップの本質をわかりやすく表現すると『地図を拾ってコンパスを頼りに進め』ということになる。
イノベーションに必要なコストが劇的に下がった現在、
それを成功に導くまでの『地図』を描こうとすると、その作業が、プロダクトを開発する以上のコストがかかってしまう。
たとえ地図ができたとしても、イノベーションが急速に進む今の世の中では、地図が陳腐化している可能性が高い。
こうした状況では、地図は最初から持たずに、市場の変化を敏感に感じ取るコンパスを手にしなやかに方向性を変えていったほうがよい
地図をすてることで『セレンディピティ」の恩恵にも預かれる」

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